データサイエンス・AIを武器にデータと戦略を紡ぐMETRIKAが、様々な領域で活躍する人々と対談する「 METRIKA talk」今回は RABBIT inc. 代表 / METRIKA CCO(Chief Creative Officer)の増田総成さんを交えて、CEO小林とCOO澤村の3人で、ビジネスにおけるデザインの重要性や、データとの可能性を語ります。
澤村:増田さんがクリエイティブに進んだきっかけは?
増田:小学生のときに絵画コンクールで描いた象の絵を褒められたことでした。そこから絵を描くことが好きになり、習い始めました。他にもスポーツや書道など色々やっていたのですが、ずっと最後まで続けていたのは絵の習い事だけでしたね。
小林:象の絵を描いたことが、WWFジャパンでのキャンペーン施策に繋がっているんですかね。
増田:そうかもしれませんね(笑)。
澤村:増田さんは多摩美術大学でグラフィックデザインを学ばれたんですよね。なぜその学科に?
増田:当時多摩美の中で一番人気があった学科だったからです。後はデザイン学科ってシンプルにかっこいいなと思って(笑)油絵や日本画といったいわゆるファイン系アーティストやイラストレーターになることへの憧れもありましたが、僕はずば抜けた画力や突出した個性があるタイプではないことを自覚していたので、どちらかというと人と一緒にものを作るデザイナーが向いていると思っていました。
澤村:自己表現をつきつめるアーティストとビジネスのなかで人に寄り添うデザイナーは別ということですよね。進路を決めたターニングポイントなどがあったのですか?
増田:ターニングポイントではないですが、デザインをやりたい!と思ったきっかけは、実は「チョコボールのキョロちゃん」なんです。約60年間ずっとあのキャラクターでやり続けて、今はキャラクター自体が商品になっていますよね。広告は2〜3ヶ月で変わっていくのが普通なのですが、僕はキョロちゃんみたいに普遍的に残るものを作りたいと思ったんです。自分の中に「生み出す」ことよりも「続く」ことに軸があると気がついて、それが今行っているブランディング事業にも通じているのだと思います。
澤村:普遍性のあるデザインには、何が必要なのでしょうか?
増田:ブランドがすでに持っている魅力を発見することだと思います。デザイナーって、何かを新たに作ることよりも、すでにあるものを整理する役割の方が大きいんですよね。ブランドの魅力は、それぞれの企業が持っている。でも、それが隠れていたり、小さくて見えなかったり、見えにくい状態で置かれていたり、逆に目の前にあるのに気づかなかったり。そんな時に、ブランドの魅力を整理して再発見できるデザイナーが必要なんだと思います。
澤村:僕はもともと、アーティストになりたいと思っていました。でも無理だと気がついて諦めたんです。そこからビジネスへとシフトしたきっかけに、アンディ・ウォーホルの「成功したビジネスは、すべからくアートである」という言葉があります。ビジネスをやることで、まだアーティストになれる道が残っている!と思ったんです。彼は特に、ビジネスの仕組み自体をアートとして見ていて。統計や数学もアートやデザインとプロセスが似ていると思うんですよね。
増田:確かに。最近は「デザイナーだから」という固定概念も薄れて、色んな人が色んな分野で活躍できる時代になりましたよね。でも美大卒だと、デザインとビジネスを掛け合わせてガッツリやっている人はまだまだ少ないという印象です。
澤村:僕が増田さんをMETRIKAにスカウトした理由はそこなんですよね。笑
創業二ヶ月くらいで、「ビジネスをやる僕とテクノロジーをやる小林がいるんだから、三人目は絶対クリエイティブだ」と思いました。そこで信頼している知人に、形があるものをどう出すかではなく、形がない所からどう作っていけるかを相談できるクリエイティブ人材を紹介してほしいとお願いしました。世の中のデザイナーさんのなかでも、経営の部分から話せる人はそんなにいないぞと言われつつ、大学時代からの友人であり、戦友として紹介いただいたのが増田さんだったんですよね。
増田:デザインを突き詰めるのもすごいことですが、僕は性格的に何か一つを極めるタイプではありません。
グラフィックデザインと掛け合わせて武器になるような、もう一つの要素を持っている人になりたいと思っていました。
それがビジネス領域の知識だったんです。ビジネスの話ができるデザイナーのほうが、デザインそのものの価値も上げることができるだろうなと。
澤村:METRIKAではデジタル人材の育成も行っていますが、それにはビジネスとテクノロジー、そしてクリエイティブの要素を併せ持つことが必要だと考えています。
その三角形を企業のなかにどれだけ増やしていけるかが重要です。もちろんMETRIKAにもそれが必要だと思ったから、増田さんにどうしても来て欲しかった。
今一緒にお仕事をしているクライアント企業さん、さらには社会全体の中にそういう人材を増やしていきたいですね。
澤村:増田さんは、データ会社のMETRIKAとデザインが組み合わさることにどんな可能性を見出していますか?
増田:本当の意味で「社会に寄り添う」ことができるようになると思っています。学校から銀行まで、データは幅広い領域を創り上げることに携わっていますよね。
そのようなデザインだけでは解決できない社会全体にも、データを掛け合わせることで到達できると思うんです。
小林:まさにそうなってくるといいですね。特に今、BtoB企業の中にはクリエイティブが足りていないと感じています。実際にMETRIKAに増田さんが入って下さってから、Webサイトや名刺制作など至るところでデザインのパワーを感じています。
澤村:名刺は特に営業アセットとしてすごく機能していて、お渡しすると必ずといっていいほど褒めていただけます。名刺から僕らの人柄やこだわりを感じ取ってもらえるので、そこからコミュニケーションが生まれます。
また、BtoC企業でも、直接エンドユーザーが見えない大企業の子会社などは、どうしてもお客さんとの距離が遠くなるため、クリエイティブが後回しにされがちです。
でもそこに、デザインが入り込む大きな余地があると感じています。
親会社のほうでも「カスタマーファースト」を常に謳っている企業が増え、データサイエンスの中にデザインという言葉が頻出してきています。
今までの”デザイナー”には制作する人という意味合いが強くあったのかもしれませんが、これからは顧客体験をデザインするデザイナーがまず初めにいて、それを実現するためのビジネスやテクノロジーが必要になるというように、順番が変わっていくのでしょうね。
小林:増田さんはその新しいデザインのスタンダードを作っていくと思います。
増田:新しいデザインのスタンダード。いいですね。デザイナーという職業の価値の底上げにつながることは、前のめりにやっていきたいです。
澤村:最後に、METRIKAで増田さんが実現したいことは?
増田:個人的にはグラフィックや映像を中心に今までやってきたので、デジタル領域で作品を作ってみたいです。
もちろんコンセプトがある上でですけど、METRIKAとしてのクリエイティブは、データとの掛け算が絶対に必要だと思っています。
先程、ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ三角形の話もありましたが、澤村さんと小林さんからは出てこないようなアイディアを僕が提供しながら、何か新しいものを一緒に作れたら面白いのではと思っています。
株式会社METRIKA CCO(Chief Creative Officer)